インバウンドに思う!!

 ここ4~5年、街中を歩いていると外国人に出会う事が多くなり、インバウンドが深く進行している事が実感される。インバウンドは、ほぼ国策でもあるが同時に、街中で行き交う中国語を声高に喋る人たちに「傍若無人な感じで、あまり日本に来てもらいたくない」等と反感を持つ日本人もいる等やや複雑な様相を呈しているが、どういう訳か、尖閣問題や竹島問題・従軍慰安婦問題等をかかえ、一見敵対関係にあるような中国や韓国からの訪日観光客が多いのが面白い。

 インバウンドは国内に「新たな消費市場」をもたらすと同時に、訪日経験者が自国で日本製品を購入する可能性や、クチコミやSNS等を通して周囲に日本の良さをアピールしてくれる可能性も増やという意味で、日本の製品やサービスの海外進出を促してくれている。そういう意味で、インバウンドと商品のアウトバウンドは循環しているのである。何はともあれ、来年の東京オリンピックまでは右肩上がりであろうが、インバウンドの真の課題は、東京オリンピック後に備える事にあるのではなかろうか。そしてインバウンドマーケティングとしては、こんな事を考慮する必要があるのでなかろうか。

・日本を店舗に見立てれば、海外からやってきた人はいわば見込み客。ならば見込み客に有益なコンテツを提供する必要があろう。ただ一口に見込み客と言っても、国によりツアーに期待するものの内容は異なっていよう。又仔細に見てみれば、性や年代別、さらにはツアースタイルや訪日頻度等によって、それは微妙に異なっていよう。

・旅は非日常体験。それ故海外のツーリスト達はこれから定番の「ゴールデンルート」や「昇竜ルート」などを離れ、未知の自然や風土、食、そして出会い等を求め、ますます地方に足を伸ばしていくに違いない。そういう意味でインバウンドは地方活性の要であり、地方に、受け入れ体制の整備と共に、独自の魅力の再発見が求められている。

・訪日ツーリストの内訳を見ると、中国、台湾、韓国など東アジア勢が大勢を占め、例えばフランスなどヨーッロパの観光先進国からのツーリスト達の数が意外と少ない。日本は観光資源の4大要素たる「気候」「文化」「自然」「食」の全て」を備えた観光立国たる条件を満たした国、にも関わらず観光先進国からのツーリスト達の数が少ないのは、そこに何か欠けたものがあるからに違いない。ではその「欠けたもの(=来ない理由)」とは何なのであろうか。観光立国たるには、来ている人たちを分析する事はもとより、「何故来ないか」を探る事も肝要なのでは。